« September 2006 | Main | November 2006 »

October 2006

October 25, 2006

「ブラックダリア」

ブラックダリア」、デパルマだし、エルロイだし、期待して行ったのですが、うむ・・・。
何年も前に、ジェイムズ・エルロイの原作は読んでいて、複雑に絡み合ったストーリーと、過剰で重苦しい独特の雰囲気が強く印象に残っていたのですが、映画ではそんな魅力が薄まってしまったような気がします。なにしろ筋が複雑なので追うのに精一杯、の割には緊迫感があまりないのですね。スカーレット・ヨハンセンも、クラシカルないでたちが素敵でしたが、キャラクター的には(ワケありだが、今はすっかり家庭的)あまり深みも感じられず・・。とはいえ、ブラック・ダリアが発見されるときの、クレーンを使ったロングショットや、階段のシーン(ヒッチコックのよう)などは、デパルマらしく、とても良かったです。それと、ブラック・ダリアを演じたミア・カーシュナーは寂しく儚い雰囲気が美しかった。
どうしても、(同じ原作者の)「L.A.コンフィデンシャル」と比較してしまうのです。これも小説とはずいぶん雰囲気が違うのですが、映画として本当に素晴らしかったから。バド(ラッセル・クロウ)が初めてリンと出会うシーンでの、キム・ベイシンガーの美しさは忘れられません。ヒリヒリするようなカッコ良さ、大好きです。

October 24, 2006

「マッチポイント」

ウッディ・アレンがイギリスで撮った映画「マッチポイント」、とてもおもしろかったです!
上昇志向の強い元テニスプロのクリスが、上流階級のトムと親しくなり、やがて彼の妹クロエと結婚、父親の経営する会社の重役ポストも与えられる。着実に望んでいたものを手に入れていく彼だが、トムの婚約者で挑発的なアメリカ人のノラに惹かれ関係を持ってしまい、ついに・・・というストーリー。
アレンが「いかに人生で運の果たす役割が大きいか」と言っているように、『ボールがネットの上に当たってはずんでツイている時は向こう側に落ちて、勝つ  ツイていない時はこっち側に落ちて、負ける  勝敗は運が決め人生はコントロールできないー』というコピーが効いています。ラストにひねりがあって、そう来るのか!と唸らされました。
シリアスな話ですが、観ていて何度も笑ってしまいました。それは、登場人物が自分のようで、滑稽だったから。クリスにもトムにも、クロエにも自分を投影するところがありました。良い意味でとても古典的なストーリーなんですよね。だから音楽が(いままでのアレン映画とは異なり)オペラ、というのにも納得です。
クリスの野心を、ドストエフスキー「罪と罰」の読解本を読んで研究するシーンで表したり、クリスとノラとの会話(「トムはカシミア?」「彼はビキューナよ」)で、上流階級を表現したり、さすが・・・
役者もとても良かったです。ジョナサン・リース・メイヤーズ、野心的で自己中心的なところを上手く隠し、親切で常識的で穏やかに見せているクリスをリアルに演じていました。スカーレット・ヨハンセンも、白い衣装と唇が官能的なノラにぴったりでした。でもよくよく考えてみると、ノラって、自分からクリスを誘惑した訳でもなく、トムには捨てられ、オーディションもパッとしないし、しまいには・・ってことで、かなり気の毒で運の悪い女、なんですよね、
ファム・ファタルではなく。
この結末は好き嫌いが別れるのでしょうか・・私はかなり好きです。堪能しました。

« September 2006 | Main | November 2006 »