« September 2008 | Main | November 2008 »

October 2008

October 12, 2008

ヴィルヘルム・ハンマースホイ展

Go_674_04

上野の西洋美術館で開催されている、ヴィルヘルム・ハンマースホイの回顧展に行きました。ハンマースホイ(1864〜1916)は生前ヨーロッパで高い評価を得ていたものの没後急速に忘れられ、近年再評価の機運が高まっている画家であるとのこと。

どれも本当に素晴らしく!展覧会のサブタイトルである「静かなる詩情」というのにふさわしい作品達だった。中でも、「建築と風景」「誰もいない室内」というパートの絵たちに心引かれた。コペンハーゲンの宮殿や、ロンドンの街並、町の大ホールなどを描いた作品からは人の姿が全く排除されており、不思議な静けさに満ちている。微妙なニュアンスのグレーや茶、ブルー。決して明るい絵ではないが、私はこれらの作品から孤独ではなく、むしろ静謐で満ち足りたものを感じた。
繰り返しモチーフとなっている簡素な室内(居住していたコペンハーゲンの家)の、やはり人がいない一連の作品からも、なんだか不思議な印象を受けた。存在しているものをあえて描かないことで生まれる余白。何かエッセンスだけが抽出されて抽象的なものに昇華しているような…。
全然違うのだけれど、イタリアの画家モランディをふと思い出した。

とにかく、とても好きな画家の一人になりました。土曜の午後でしたが、ものすごく混んでいる訳ではなく、自分のペースでじっくり観られて良かったです。ポストカードは、人物のいる室内のものが多く、私が欲しかったものはないか売り切れでした。でも図録は購入したのでこれからじっくり眺めたいと思います。

Go_674_01_2

October 04, 2008

最近観た映画

Kicx1240_2

この自由な世界で」ケン・ローチ監督
渋谷アミューズにて。
シングルマザーのアンジーは失業をきっかけに、自分で職業紹介所を始める。非合法なことをしなくても大丈夫なくらいの儲けはあったのに、そこまで追いつめられていた訳ではなかったのに…彼女は成功したいとか人を見返したいとかいう気持ちがとても強かったからなのだろう。だから一線を越えてしまった。
あれだけバイタリティーに溢れていて、エゴの強い人にはあまり近づきたくないとは思うけれど、自分がその立場だったらどうだろうか…?(あそこまではしない気がする、というよりエネルギーがないか)
アンジーの言う(そして映画の原題である)「It's a free world」、皮肉ですね。
この物語はロンドンを舞台にしているけれど、日本でも状況は同じなのだと思う。日本だけではなく「自由な世界」ならばどこででも起こりうることだろう。

グーグーだって猫である」犬童一心監督
吉祥寺バウスシアターにて。
大島弓子のエッセイ漫画を原作に、天才漫画家の麻子さんと周囲の人々、猫をめぐる物語。吉祥寺がたくさんでてくるのが嬉しかった。
アシスタントのナオミを演じている上野樹里がみずみずしくてとても良い。彼女が高校生の夏休みに麻子先生の作品に出会って、「なんだかわからないけどかなしかった。そして涙が止まらなかった」というシーンがとても好きだ。心のふるえが起こったのですね。
人は結局のところ孤独なのだということ、だからこそ周囲の人たちとの何気ない日々が愛おしいのだということ。
同じようなことを、パトリス・ルコントの「ぼくの大切なともだち」でも感じたし、そこに私は共感するのだと思う。

「飛行士の妻」
エリック・ロメールの上映権が今年で切れるということで、当面日本の映画館では観ることができなくなるらしい。
だからなのか平日の昼だというのに、渋谷の映画館にはたくさんの人がいた。
この作品は、「人セク」のみるめを演じるにあたって、井口監督が松山ケンイチに観てもらったというもの。
納得した。主人公のフランソワが、年上の女性アンヌに翻弄されまくっている…
笑顔を殆ど見せないアンヌはとても美しく、いかにもフランス女という気がした(私の勝手なイメージですが)。

デトロイトメタルシティ
普通に面白かったし、ウレシハズカシ渋谷系が懐かしく根岸がキモカワイかったが、ストーリーがちょっと小粒かな〜。タンバリンのシーンが好き。原作のコミックスにも興味を持った。

その他、「コレラの時代の愛」「ダークナイト」など観ました。「ポニョ」「スカイクロラ」については別に書きます。


追記:ポール・ニューマンが9月26日に83歳で亡くなりました。そんなにたくさんの作品を観ている訳ではないのですが、「ハスラー」(2ではない方)、ヒッチコックの「引き裂かれたカーテン」など、とても好きでした。寂しいです。

« September 2008 | Main | November 2008 »