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January 18, 2010

「内藤礼 すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」

Sky_2


このところ寒い日が続きますね!
そんな連休最終日の11日、鎌倉の神奈川県立近代美術館で開催されている「内藤礼展」に行きました。美術館に着いたところ、チケット売場に列ができていてビックリ。アーティストトークがあるからでしょうか。ここがこんなに混雑しているのを初めて見ました(他の人達も驚いていた)。

坂倉順三設計の建物を利用した展示9点。2階の第1展示室… 1. 《地上はどんなところだったか》、第2展示室…2. 《地上はどんなところだったか(母型)》、3. 《恩寵》(丸い紙にオフセット印刷、持ち帰り可)。
1階に降りて中庭…4. 《精霊》(2本のリボン、長さ7990mm)、彫刻室・テラス…5. 《恩寵》(ビーズ、テグス)、6. 《恩寵》、7. 《恩寵》、8. 《無題》(水、ガラス瓶)、9. 《精霊(わたしのそばにいてください)》。

内藤氏の作品は、何年か前に直島の家プロジェクト《きんざ(このことを)》を体験して以来でしたが、それとつながるものを感じました。本当は《このことを》のように一対一で対峙するのが良い作品なのだと思うのですが、この日はとても人が多くて…ちょっと違う雰囲気だったかもしれません。《地上はどんなところだったか》は、照明を落とした部屋の展示ケースのガラスや風船にクリスマスライトの灯りが映り込んでとてもきれいでした。内と外、生と死、等について語っておられましたが、確かに聖性というか宗教的なものを感じる空間でありました。

現代美術作品はどう観て良いのかわからないことも多いのですが(それで全然かまわなくて、鑑賞者にゆだねられているものだとも思うのだけど)、今回のアーティストトークでは制作意図等も聞く事ができ、それはそれでとてもおもしろかったです。特に第2展示室の作品達については、ああ、そういうことなのか…という気づきがありました。

アーティストトークは、美術館副館長の水沢氏との対談形式で1時間くらいでした。
芸術の役割についての問いに対して「以前はそういうことを考えることがおこがましい気がしていたが、最近、お金があってもなくてもいい作品を作れなければいけない、お金があってもなくても幸せでなければいけない、ということを考えて制作し続けてきたんだな、ということに気づいた」とか、「展示する場には絶対に良いものがある、と信じている」とか、「世界との連続性を実感できないからこそ、そこに含まれている(等質に)という全体性を求めて制作している」「女性も母性を必要としている」などいろいろと興味深い話をきくことができました。母型との接触。見るということが固定していない。等々。そこでタイトルの意味に気づく。
「内藤さんは昔と比べて開かれてきている」と水沢氏が言っていたのも印象的でした。
寒い中庭でしたが、踊るようにたゆたうリボンの下、集まっている人達がそこで発せられる言葉に耳をすませている時間がとても幸せなものに感じられました。あの空間にあの展示、素晴らしいです。1月24日まで。

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Comments

こんにちは。

Twitterでも当日のようすを
驚きを持ってつぶやいている方
散見しました。

トークショーの内容を
まとめて頂き感謝感謝です!

Takさん

確かにつぶやきたくなる状況ではありましたね〜
寒いしぎゅうぎゅうだし。

ある意味厳しい環境でしたが、そんなこと気にせず
みなさん熱心に聞いてらして、いいな…と思いました。
思いのほか若い人が多く、
メモをとっている方もたくさんいらしたのが
印象的でした。

あの美術館は建物も含めてとても好きなので、
あそこで展示を見られて嬉しかったです。

Takさんブログの「精霊」の写真、いいですね!

こんばんは
Takさんのところからこちらにきました。

トークショー、聴かれたのですね。
私は用事で行けなかったので、とてもうらやましいです。

ちなみに、第2展示室の作品達に対する気づきって
どんなことなのでしょう...

lysanderさま

こんにちは。
lysanderさんは初日にいらしたんですね。
トークショーはとっても良かったのですが、
やはり人が多かったなあ…と思います。

ところで第2展示室について。
《地上はどんなところだったか(母型)》は、
地球というか地上を高いところから見下ろしているような感じ、という話をなさっていました。
だから緑色の布を敷いてある。
《恩寵》の丸い紙については、
赤ちゃんがこの世に生まれてきたときに
(空中にふっと出現するような、という表現をなさっていました)
必要な大きさ(世界に両足が触れるときに)なのだそうです。

第2展示室について、話を聴く前はよくわからない…と
思っていたのですが、
作者の意図を聞いてから見ると、なるほど…と。(そういう見方が必ずしも正しいのかはわかりませんが)

それから、何度か会場の下見をしたのだけど、前の展示やら衝立てやらがあって、サラの状態は見ないまま設営に入ったということ。なので、布は大まかに切っていったけれど、細かいところはその場で考えながら作った、という話が、個人的にとても興味深いところでした。
(これって気づき、って言わないかもしれませんけど)

これをご縁に、これからもよろしくお願いいたします。
今年はたくさん展覧会にも行きたいと思っています。
春先に念願の21世紀美術館に行く予定です!

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