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May 20, 2010

ルーシー・リー展

Photo
ウィーンの分離派会館


昨日は初夏のようだったのに、今日は雨で肌寒い一日でしたね。気をつけないと風邪を引きそう。

さて、少し前の週末、新国立美術館で開催されている「ルーシー・リー展」へ行きました。

20世紀初頭ウィーンで生まれたリーは、分離派を始めとした当時の文化の影響を受けつつ陶芸家としての活動をスタート。戦火が近づいた1938年イギリスへ移り、そこで長く制作活動を続けた。そんな彼女が試行錯誤しつつ経てきた様式を一覧する大規模な展覧会でした。

円熟期の美しい色彩で薄く端正なフォルムが知られているけれど、他にもいろいろな作品がありました。バーナード・リーチの影響を受け自分の道を見失っていた時代のものも。昨年見た「アーツ&クラフト展」では、イギリスの運動とともにウィーン工房の作品も紹介されていましたが、結構違うんですよね。同じ思想から出発していたとしても、ウィーンの方はより都市的で洗練されている感じ、イギリスは自然への傾倒や民芸にも通じる素朴な感じ(かなり大雑把なまとめですが)。なので、リーチが最初彼女を評価しなかったのも、リーがとまどったのも理解できました。

おもしろかったのが、制作風景の映像や、顧客への手紙、釉薬ノートなどの資料類。様々な釉薬の組み合わせを試みて、あの美しい色彩を生み出していたのですね。そしてそれを記録する(大事です)。自分の器を追求しつつ、顧客の要求に応えつつ、新しいことに挑戦する、真摯且つ柔軟な姿が感じられました。

とても楽しいのが、照明を落とした部屋にあるたくさんのボタン!本当に美しい小さなものたち。同じ形のものにも色や表面加工など多彩なヴァリエーションがあって、生活のために始めたとはいえ楽しんで作っていたのじゃないかと思うのですけど…どうでしょう。ひとつ欲しい。オーバーコートにつけたら素敵だろうな…

溶岩釉もいいし、掻き落としもいい。ピンクやブルーの大鉢も素敵だけれど、器をどれかひとつ持ち帰っていいと言われたら、私は白地に薄いブルーの線が入った「白釉青線文鉢」を(図録の表紙になっている作品)。でも…やっぱり選べないかな…。身近に置いて眺めていたいような作品ばかりです。
ところで、今回出展されているピンクの鉢に料理を盛りつけた写真を雑誌で見たのですが、正直うーむ…という感じでした。私はただ器そのものを見ていたい。使い勝手重視でみたら、あの薄さ、色、形ではなかったかもしれない。けれど、空間を美しくする「もの」としては、あれが絶対だと思う。
個人的にちょっと勇気が出るような展覧会でした。

東京展の後、益子や静岡、関西にも巡回するようですので、ぜひ!おすすめです。図録の写真もきれいですよ。


美術館を後にして、向かったのはパピエラボ。紙にまつわるプロダクトを扱うお店。狭いのだけど、紙好きにはたまらない空間でした。活版印刷のオーダーも受け付けてもらえるそうです。中村活字に作ってもらった名刺(活版!)がなくなったら、頼んでみようかな。
サブレタープレスの刺子柄(装苑で紹介されていた)や、動物柄のポストカードを買いました。すごく素敵です。

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Comments

パピエラボ、いい感じですね〜
行ってみたいです。

活版好きなら、↓もなかなか楽しいですよ、
凸版印刷の印刷博物館。
http://www.printing-museum.org/

印刷博物館、おもしろそう!
特に古い本。
見てみたいなー

活版はあの、ちょっとへこんだ感じがいいですよね。

お久しぶりです。
美術・芸術に飢えているこの頃。ここで、少し
ブレイクさせてもらっています。
ルーシーリーのことは、少し前にNHKの「日曜美術館」でとりあげられていました。見ました?
イッセーミヤケ氏が出演し、所有のボタンや食器が
出てきました。彼女のコーヒーカップでコーヒーを飲み、彼のデザインした服にリーのボタンをつけ、司会の
アナウンサーが羽織っていました。素敵だったなぁ~。
関西での展覧会、何とか調整して行ってみたいものです!

れもんさん

お元気ですか?
「日曜美術館」見ましたよー。
昨年六本木でやった「U-Tsu-Wa」展の頃に放送したものの
再放送でしたね。
あのコート&ボタン、素敵でした−!!
アナウンサーも落ち着きがあって好きです。
(調べてみたら、我々の後輩みたいよ)

ルーシー・リーについて私が初めて知ったのは、
もうずいぶん前に、れもんさんが書いていた記事で、なんですよ。
実際の作品をあれだけたくさん見られる機会は貴重でしょうから、
ぜひぜひ行ってくださいな。

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» 「ルーシー・リー展」 国立新美術館 [はろるど・わーど]
国立新美術館(港区六本木7-22-2) 「ルーシー・リー展 ウィーン、ロンドン、都市に生きた陶芸家」 4/28〜6/21 国立新美術館で開催中の「ルーシー・リー展」のプレスプレビューに参加してきました。 かつてこのチラシを観て以来、非常に楽しみにしていた展覧会の一つでしたが、実際に接してもその思いは全く裏切られることはありませんでした。むしろルーシー・リーへの半ば愛情がより高まったとしても過言ではないかもしれません。 構成は作家の経歴を時間軸で辿るシンプルな3章立てでした。 ・初期ウ... [Read More]

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